UV洗浄表面改質装置【コラム】
UV表面洗浄改質装置の排気はどうしたらいいのでしょうか?
弊社コラムをお読みいただき、ありがとうございます。
当社製品の中でも指折りの人気のUV表面洗浄改質装置はリピーターの御客様はもちろんのこと、新規の御客様からも多くのお問合せを頂戴しております。嬉しい限りです。
今回は「初めてUV表面洗浄改質装置を使うのだけれども・・・」という新規の御客様から頻繁に頂戴する質問について書いていこうと思います。
題して今回テーマは、「UV表面洗浄改質装置の排気はどうしたらいいの?」です。
初めてUV表面洗浄改質装置を御使用になる御客様で、UV照射による表面洗浄改質効果についてはよくお調べいただいていただいているのですが・・・・。
「そもそもなぜUV表面洗浄改質装置の排気は必要なの?」
「UV表面洗浄改質装置の排気は、そのまま室内にして問題無いでしょうか?」
↑の部分まで意識されている方はそこまで多くないように感じます。これって言葉で説明するのは簡単なのですが、日頃の御客様に説明ををしていて「伝わりづらい部分なのかなぁ・・・」とも思います。
もちろん今回初めてUV装置を使うのであればそれもそうでしょうし、御客様全員がそこまで意識されている方ばかりだったりすぐにご理解いただけるようであれば、私のような営業マンは不要ということになってしまいます(泣)。
本コラムでは出来る限りご理解いただきやすくする為にヘタクソかもしれませんが説明文だけでなく、イラストも交えてこのあたりをご説明させていただきます。ご興味ある方はお付き合いください。
前置き長くなりましたが、それでは参りましょう!
Q1:UV表面洗浄改質装置の排気はなぜ必要なのでしょうか?
当社UV表面洗浄改質装置の「排気」は排気ファン(ブロワ)にて行われます。
この「排気」ですが、当社のUV表面洗浄改質装置にとって重要な要素になります。この「排気」には2つの役割があります。
排気の役割 其の一:オゾンの生成促進
対象物の表面洗浄及び改質を安定して行うためにはオゾン(O3)を装置内で絶え間なく生成させる
必要があります。そのオゾン(O3)の生成には酸素(O2)が必要不可欠です。
つまり装置内には常に酸素(O2)を供給して十分な量の酸素で満たしてあげることが必要で、
装置内の雰囲気は常に入れ替えてあげる必要があります。
(排気と言いつつも実のところ、「給気」と「排気」が行われています。)
表面洗浄改質の詳しいメカニズムは下記リンクにあります。詳しいことを知りたい方は下記のページもご覧ください。
では装置内は具体的にどのような状態になるのでしょうか?
下記写真とイラストで説明していきます。「給排気無」と「給排気有」の場合で見比べてみましょう。
(説明には当社装置を代表してASM401ozを用います。)
写真①の装置を「A-A」の線で切断して内部の様子を図①、図②としてイラスト化します。

図①:A-A断面イラスト図 ※給排気無の場合
ファンを動作しないと、本体装置の側面の給気用スリット(写真②)から酸素が供給されません。
結果として、装置内の雰囲気の置換がされない状態になります。

図②:A-A断面イラスト図 ※給排気有の場合
ファンを動かすと装置の給気用スリット(写真②)から装置内に酸素(O2)が常に供給されます。常に装置内の雰囲気が置換される状態になります。
本当にあんまり上手なイラストが描けませんでした・・・。
予防線を張って実はそんなに下手でもないというストーリーを考えていたのですが、まさかの本当にあんまりでしたね・・・。
まあこのイラストから言わんとしていることはですね・・・(汗)。
給排気をしなければ装置内雰囲気の酸素からオゾンは生成されるものの、次第に酸素が不足してオゾンの生成がされなくなり、表面洗浄改質効果が低くなっていくということです。
ですので常に大気からの給気と装置内雰囲気の排気(置換)を行うことで安定した性能が発揮されるという事なんです!
【 排気の役割 其の二:ランプ電極部の空冷 】
ランプ温度、特に電極部分の温度が上がりすぎるとUVランプは照度が安定しません。
故に当社の表面洗浄改質装置は最適な照度を保てるように給排気ファン(ブロワ)の風によりランプの空冷を行うことで最適な照度を保てるようになっています。
但し単純に冷やせばいいというわけでもありません。ランプ電極部が冷えすぎてしまってもランプの照度はグッドパフォーマンスとはなり得ません。
当社のUV表面洗浄改質装置はランプ電極部温度が上がりすぎず、冷えすぎずのちょうど良い加減となるように設計しておりますし、一部機種を除いて微調整もできるようにしています。

写真3-1:ASM401oz用UVランプ

写真3-2:ASM401oz用UVランプ 電極部拡大画像
写真3に当社UV表面洗浄改質装置のASM401ozで実際に使われているランプの写真を載せました。
写真は当社のレンタル機ランプですので積算照射時間が長い為、電極部分が黒くなってますね(苦笑)。
これもひとえに日頃よりたくさんの御客様にあすみ技研のUV装置を御利用いただいている証ですね。
改めて感謝申し上げます。
さて、電極部拡大写真を見て頂けるとわかりますがその部分が電極部になります。
この部分が熱くなりすぎてもいけないですし、冷えすぎてもいけないということなんです。
この部分を給排気の風による空冷効果で温度を可能な限り一定となるようにしています。
別機種にはなりますが「紫外線照度とランプ電極部温度の関係」と題して測定を行った
データがありますので、お時間あればそちらもご覧ください。
何故排気(給気)するのか?排気(給気)することで何がどう変わるのか?
少しはおわかりいただけたでしょうか?
さて、続いてここからは「排気はそのまま室内に出して問題無いのか?」についてご説明致します。
Q2:UV表面洗浄改質装置の排気ってそのまま室内にして問題無い?
これについては先に結論言ってしまいますがダメです、どうかやめてください(汗)
オゾン(O3)の持つ強い酸化力は当社で扱っているUV表面洗浄改質装置ではとても有用です。
でもそれはオゾン(O3)を正しく取り扱った場合に限られます。
オゾンは有用である反面で危険な気体でもあり、取り扱いを誤ると一転人体に危険を及ぼします。
脅すわけではないのですが、これは事実です。
オゾンの危険性について詳しく知りたい方は下記ページをご覧ください。
「では室内排気する場合にはどうすればよい?・・・」
当社にはオプションにはなるのですが「オゾン分解装置」のご用意があります。

写真④:当社オプション オゾン分解装置
写真④がオゾン分解装置になります。
実はオゾンは化学的にとても不安定な物質で時間とともに徐々に酸素へ変化します。
ですがそのままでは「徐々に」ですので時間がかかります。なので酸素に変わるよりも早くオゾンが室内に充満してしまう可能性もあり危険極まりないです。
そこでオゾン分解触媒を通過させる事により化学反応のスピードを速めて室内排気しても問題無いようにする必要があるということです。
オゾン分解の仕組みについて詳しく知りたい方は下記もお読みいただければと思います。
ただオゾン分解装置は必須ではなく、あくまで室内排気の必要がある場合に限られます。
UV表面洗浄改質装置を使用する室内に・・・
- 排気設備が設けてあり、UV表面洗浄改質装置とそれが接続可能である場合
- UV表面洗浄改質装置をドラフト内で使用する場合
上記の場合にはオゾン分解装置は不要となります。
コラムにしてはかなり長くなってしまいましたね・・・。しかも文章多めですし・・・。
乱文乱筆なコラムに最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
今回コラムが少しでも御客様のお役に立てたら幸甚です。それでは今回はこのあたりで。
(T.S)
UV照射装置の透明除き窓は本当に覗いても安全か?
あすみ技研のUVコラムをお読みいただき、ありがとうございます。今回のコラムは私T.Sともう一人Y.Sが担当です。よろしくお願いします。今回はつい最近、御客様から聞かれた質問がテーマです。

写真② 装置覗き窓部
装置扉には処理中の試料の様子を見る為の覗き窓が付いています。
これは処理中の試料の様子を確認するために設けております。
弊社でも受託照射処理、特にフィルムや薄くてとても軽量の物を処理する際にはこの覗き窓から様子を見たりします。
処理対象物が軽いとオゾン排気風の影響でヒラヒラとばたついてしまう場合もありますので・・・。
「・・・オゾン排気風?」と思われた方はこちらの記事をご一読ください。
そんな覗き窓から中を覗いている私たちの様子を見ていた御客様から・・・・。
「それって覗いて害はないんですか?ダメージが蓄積するとか・・・」
確かに入社した時に先輩から「覗いても平気だから安心して」と言われてきたので何の疑問にも思わなかったのですが初めて装置を見る方や、あまり馴染みがない方からすれば、漠然とした不安や疑いがあるのかもしれません。
そこで今回は覗き窓の外側でUV照度を測定して、本当に害が無い程度までUVカットできているのかを確かめてみます。カットできてなかったら大問題です・・・。
さて、それでは参りましょう!照度を測定する装置はもちろん冒頭で紹介した「ASM1101N」です。
照度測定条件は下記の通りです。


写真③ 暖機運転開始直後のランプの様子

写真④ 暖機運転後のランプの様子
暖機運転前後ではランプからの光の出方が違ってきます。
カメラマン(私)が悪いのか装置のランプが優秀なのかはわかりませんが、
この写真だとあまり暖機運転前後の違いが分かりませんね・・・。
・・・・きっと弊社のランプが優秀なんでしょう!
この暖機運転はランプの照度安定の為には欠くことのできない作業となります。
詳しく知りたい方は「UVランプの発光原理のコラム」をご覧ください。
ちなみにですが覗き窓から見える光の色。これがUV光の色と思われるかもしれませんが、この色はUV光の色ではありません。実は自分も入社したばかりの頃はそう思ってました・・・懐かしい。
弊社UVランプの主波長は「184.9nm」と「253.7nm」でこれは可視光の波長外となる為、目視で確認することはできないはずなんです。
・・・それでは、あの光は一体何なのか?
主波長は上記の波長帯ですが、それ以外の波長の光が全く発せられていないというわけではありません。可視光の波長帯の光も僅かですが発せられています。
つまり弊社のUVランプの光は「青白く見える可視光」と「目に見えない紫外線光」が混ざったものになります。
ですので短い波長帯の光は原則見えないのですが、他の波長帯の光と混ざることによって可視光として認識できるとお考えいただければと思います。
以上、余談でした(笑)。
さて、本題に戻りまして照度測定の結果です。

写真⑤ 波長253.7nmの照度測定中

写真⑥ 照度計モニタ画面
って結果、写真に出ちゃってますね。
いやぁ、安心しました(笑)。
大丈夫なはずと思っているのに、なんでドキドキするんしょうね(汗)。
まとめとして今回のことをまとめたイラストをご用意しました!
さらに補足しますと、200~280nmの波長域の紫外線は波長が短いのでエネルギーが大きく、生物のDNAに吸収される最も有害な紫外線です。つまりはUV表面洗浄改質装置から発せられる波長域ですね。
殺菌作用、有機物の分解に用いられ有用である反面で扱いを間違えれば大変危険ですが、覗き窓がこの波長帯の紫外線を完全にカットしています。
さらに透過率曲線を見ると・・・。
なるほど・・・これなら覗き窓から様子を見ても問題はありませんね。
これからも安心してあすみ技研のUV装置をお使いいただければと思います。
今回も最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
(T.S&Y.S)
紫外線の規制について
紫外線の強い季節になってまいりました。私事ですが半袖ワイシャツの袖の上下で既に肌の色が違います。
夏本番まではまだ先ですが、今の時期でもすぐ日焼けしちゃいますよね。
単に肌を焼くだけならば、弊社自慢の低圧水銀ランプなら太陽光の何十倍もの速さで焼けますが・・・
っとそんな恐ろしい冗談はこれくらいにして本題へ・・・・。
今回は「紫外線の規制について」というテーマになります。
紫外線とは
波長が10~380nmの電磁波のことで可視光線より短く、X線より長い波長になります。
紫外線を「UV」とも言いますがこれは紫外線を英語にした時の頭文字です。紫外線は英語にすると
「Ultraviolet」となりますのでUVと呼んでいます。
よく日焼けの話などで出てくる分類では、「UV-A」、「UV-B」、「UV-C」に大別されます。
UV-A
UV-Aは315~380nmの波長域で大気圏ではほとんど吸収されない為、99%が地表に到達します。波長が長いため皮膚の深くまで貫通。シミやソバカスの原因になり紫外線硬化、光化学反応に使われます。

UV-B
280~315nmの波長域で地上20~50kmの上空に存在するオゾン層により強く吸収され、その一部が地表に到達します。皮膚の表面で吸収されるので日焼けの原因、皮膚癌や白内障などの疾患を引き起こす原因となります。

UV-C
200~280nmの波長域で大気圏の酸素及びオゾンにより強く吸収を受けるため、地表には到達しません。波長が短いのでエネルギーが大きく、生物のDNAに吸収される最も有害な紫外線です。

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