紫外線(ultraviolet:UV)とは、波長が10~400nmの可視光線より短く軟X線より長い波長をもつ光のことを言います。

一般に『光』とは、電磁波の一種であり、人間の目で認識できる波長が380~780 nmの「可視光線」を指すことが多いのですが、身近なヒータなどから発せられ熱として利用される「赤外線」、レントゲンやX線CTなどで利用される「X線」なども光に含まれます。電磁波には、通信や放送などの長距離の情報通信に利用される「電波」や、ガンマ線といった放射線も含まれます。

赤外線が熱的な作用をするのに対し、紫外線は化学的な作用が著しいことから化学線とも呼ばれます。


UV波長の説明

紫外線の身近な分類としては、国際照明委員会(CIE:Commission internationale de l'éclairage)による下記の分類が知られています。


    波長(nm)
長波長紫外線 UV-A 315 ~ 400nmの範囲
中波長紫外線 UV-B 280 ~ 315nmの範囲
短波長紫外線 UV-C 100 ~ 280nmの範囲

太陽光の中に紫外線は含まれていますが、波長の短い紫外線は大気層に吸収され、我々の住む地表にまで届くのは280nm以上の紫外線(UV-A および UV-B)で、日焼けの原因となります。

当社装置に組み込まれる低圧水銀ランプは、より短い波長域であるUV-Cと呼ばれる紫外線を照射することにより、洗浄や表面改質を行う装置です。

波長と光エネルギーの関係は、波長が短くなればなるほど、エネルギー量は大きくなり、洗浄や表面改質効果を上げることが可能です。

UV-A、UV-Bの説明イラスト

UV光の波長とエネルギーの関係についてはこちら


低圧水銀ランプの仕組み

低圧水銀ランプ(低圧UVランプ)とは、点灯中の水銀蒸気圧が1~10Pa程度の環境下でアーク放電を利用した放電ランプをいいます。主に発せられる紫外線の波長は、184.9nmと253.7nmで、紫外線が透過しやすいように石英硝子で造られています。184.9nmの波長はオゾン線、253.7nmの波長は殺菌線とも呼ばれ、洗浄、表面改質、殺菌など幅広く利用されています。

UVランプ画像

UVの危険性

光の持つエネルギーは、波長が短いほどエネルギーが高く、低圧水銀ランプの主波長である184.9nmと253.7nmの紫外線の持つエネルギーは、それぞれ 647kJ/mol、472kJ/mol となっています。

太陽から発せられた紫外線のうちUV-Cは大気層で吸収されてしまい、地上にとどく紫外線は、主としてUV-Aおよび一部のUV-Bの波長域になります。例えば、波長400nm(UV-A)の持つエネルギーは、299kJ/molであり、低圧水銀ランプの持つエネルギーの高さが比較できます。

仮に低圧水銀ランプから照射された紫外線が、人体に直接照射された場合、大きな火傷や失明などにつながり、危険性の高いものになります。

当社の紫外線照射装置(UV照射装置)は、紫外線漏れなどに配慮し、UVランプの周りを遮蔽した構造を基本としており、また扉が開いた際にはランプが自動的に切れる機構をそなえるなど、安全にご利用できる設計をしております。


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